【史学科一年生向け!】読書紹介② 原宗子『環境から解く中国古代』(大修館書店、2009年)
今回も、読書の紹介していきたいと思います。
前回は、少し難しめの本を紹介いたしましたので、今度は少し読みやすい本を。
原宗子『環境から解く中国古代』(大修館書店、2009年)
古代中国と言いつつ、最後には宋や明清の事柄も(漢までが中心ですが)記しています。
中国では、この時代までを古代といいますから、別段変ではないのですが、日本人からすると、~漢か、~唐くらいまでを古代と呼びたい気もしますね。
この御本、目次がとても面白いです。
第一話 「象」という字は、なぜできた?-殷周期の気候変動
第二話 「七月」が詠う冬支度-西周期の黄土高原
第三話 孔子の愛弟子・子路のバンカラの秘密-春秋~漢の毛皮観
第四話 「株を守る」のウラ事情-戦国期中原の開発と鉄器
第五話 ホントは怖い(?)「一村一品」政策-春秋~漢代の斉の特殊性
第六話 合従連衡は、異文化同盟?-戦国秦漢期、北方・燕の環境
第七話 スパイ鄭国の運命-秦の中国統一と大規模灌漑
第八話 司馬相如のカノジョはイモ娘?-秦漢期・四川に生きる心意気
第九話 「公共事業」は昔も今も……-漢・武帝期の大規模灌漑と後遺症
第十話 “帰順”匈奴のベンチャービジネス-漢代の「ペットボトル」と大狩猟イベント第十一話 海と女と酒と「叛乱」-王莽・新の税制と環境
第十二話 戦国男の夢実現(?!)-漢代シルクロードを支えた「内助の功」
第十三話 曹操も手こずった黄河の凍結-魏晋南北朝の気温変化と戦法
第十四話 均田制、もう一つの貌-五胡から唐宋期の樹木観
第十五話 「貧困の黄土高原」はなぜできた-明清・中華帝国の光と影
章がすべて○○話となっているところも素敵なのですが、特に目を引くのは、それぞれの章のメインタイトル。
古代中国の話を読んでいるのに「イモ娘」だの「ベンチャービジネス」だの、現代日本の話と間違うほどですね(笑)
Amazonリンクは下に貼っておきます。
【史学科一年生向け!】読書紹介①渡辺信一郎『中華の成立 唐代までーシリーズ中国の歴史①』(岩波書店、2019年)岩波新書1804
こんにちは!
今回から、読書の紹介もしていきたいと思います。
今回紹介しますのは、渡辺信一郎先生の書かれた
渡辺信一郎『中華の成立 唐代までーシリーズ中国の歴史①』(岩波書店、2019年)岩波新書1804
です!
正直、内容は難しく、大学で中国の歴史について研究して、卒業論文を書く人向けだと思います。
概説書ですから、歴史小説を好まれる方にとっては面白くないかもしれません。
この本は、先史~唐中期までの3000年間を対象としています。つまり、所謂「黄河文明」や「長江文明」と言われるような時代から、律令体制が成立していく過程を描いています。
古代中国の制度を一気に学びたい人は、ぜひ読んでみてください!
世界史が始まるとき②中国
みなさん、こんにちは
コロナウイルス大変ですよね…
中国に勤務する友人たちは、日本にほとんど戻ってきてますが、中国に戻れないようです…。
私は絶対にかの国にて勤務することがないので、安心ですが…(笑)
さて、ということで、今回は中国の古代文明についてお話していきたいと思います。
中国って聞くと、どういったイメージがありますか…?
わたしは、少し偏見になってしまう部分もあるのですが、汚くて臭いイメージがあります…。少し中国に留学した経験があるのですが、どうもにおいがダメでした…。
あとは、少し古いかもしれませんが「パクリ」の国としても有名でしたね。ネズミのキャラクターやらネコ型ロボットやらがテレビを賑わせていたことと思います。
しかし、中国という国は、日本がまだ狩猟採集にいそしんでいたころ、大きな王朝を成立させていたすごい国だったのです。
有名どころでは…。「秦の始皇帝」とか「項羽と劉邦」なんてのは前3C末ころです。日本でよく聞く卑弥呼は、その400年以上あとの王朝である魏から「親魏倭王」という称号をもらってますから、日本がどれだけ中国に遅れていたかが分かりますね…
そろそろ本題に入っていきます。
まず、中国には大きな二つの川が流れています。
「黄河」と「長江」ですね。
昔の教科書では、「黄河文明」のみがあげられていましたが、現在は「長江・黄河流域で興った文明」のような書かれ方をしています。
原因は、近年になって長江流域で多くの開発が行われた結果、多くの遺跡が発掘されたことにあります。
この二つの河川の流域では、それぞれ主食が異なります。
黄河流域…主にアワやキビ、コムギなど。
長江流域…主にコメなど。
ですから、同一の文化圏と考えるのはよろしくない。そこで、黄河流域と長江流域をわけてお話しします。
黄河流域
黄河流域で成立した文明は「仰韶文化(前48C~前25C)」と「龍山文化(前30C~前20C)」を覚えておけばよいでしょう。大きな違いは、土器の形状でしょうか。
仰韶文化…「彩陶」とよばれる土器を作っていました。
龍山文化…「灰陶」や「黒陶」と呼ばれる土器を作っていました。
長江流域
長江流域で成立した文明は、教科書レベルでは出てこないと思います…。しかし、近年水稲の発祥の地をめぐって議論になった遺跡である「彭頭山遺跡(前70Cころ)」を覚えておくとよいと思います。
これらの文明は、後の夏王朝、殷王朝に結びついていくことになるのです。
中国の古代文明をお話しする際に、いつもどの時代で切るか迷います。夏や殷も含めるときもありますし、北京原人の段階からお話しすることもあります。
今回は、あくまで文明と呼ばれるものについて扱いました。
次回以降、夏殷について扱いたいと思います。
世界史が始まるとき①エジプト
みなさんが、中高生のころ、社会科の授業って退屈なものが多くなかったですか?
歴史や地理が好きな人は、もちろん楽しかったと思いますが…(笑)
ここでは、この社会科の授業のうち歴史や地理について、もう一度勉強したいとか、子どもに聞かれたけどどのように説明していいかわからない、というような悩みに現役塾講師が答えていきます!
「世界史」という言葉を聞いたとき、ぱっと思い浮かべるのは、どこの歴史でしょうか…?
大部分の人が、ローマ帝国のように欧米の歴史を想像したと思います。
(アジアの歴史(特に中国や韓国など)は、身近すぎて世界史としてみるときにはあまり想像しませんよね。)
しかし、文明のはじまりである「四大文明」は、アジアやアフリカでも生まれているのです。
[エジプト古代文明]
この文明のうち、今回はエジプトで発生した文明について紹介します。
まず、確認なのですが…エジプトってどこにあるかご存じですか?
この国、アフリカ大陸の北部にあるんです。
このエジプトで栄えたのが、エジプト文明です。
エジプト文明は大きく分けて三つに分けることができます。
①古王国時代(前27C~前22C) 都:メンフィス
我々の良く知る「ギザの三大ピラミッド」が造られました。
ギザは、メンフィスから少し北に行ったところにあります。
②中王国時代(前21C~前18C) 都:テーベ
中央アジアからやってきた遊牧騎馬民族であるヒクソスに侵入されて滅亡しました。
③新王国時代(前1567年ころ~前1085年ころ) 都:テーベ
有名なツタンカーメンが生きていた時代です。三大ピラミッドができてからなんと
1000年の月日が経っています!
よく同じくくりで話されますが、時系列には注意が必要です!
これらの王朝では、ラー神やアメン神を主神として様々な神をまつっていました(いわゆる多神教というやつです。ホルスなんてのもいますね)。
エジプトの王であるファラオは、彼らの声を聴くことができる者として崇拝されていたんです。
これを「神権政治」と呼んだりします。
神様のご意向に沿った政治をしているのだから偉い、というやつですね。これは非常によくできた制度だと思います。
しかし、神権政治を行っていると、神官と呼ばれる人々の権力が強くなりすぎる…
そのため、新王国時代になると、ツタンカーメンのパパであるアメンホテプ四世が、「アトン(アテン)神のみをまつろう!」と言い出します。一神教にシフトしようってやつです。本人は名前も「イクナアトン(イクナートン)」に改名してしまいます。
これをアマルナ革命と言います。
しかし、よく考えてみてください…
次の王様は、ツタンカーメンです。ツタンカーメン⇒ツタンクアメンなのです。
まあ結局失敗してるんですね。
こののち、この地域は、「海の民」と呼ばれるよくわからない人々によって滅ぼされることになるのです。